Halloween Party

夕飯の買い出しから帰ってくると寝てやがった。

リビングのTVの前に置いてある大きなビーズクッションを枕にしてグースカ眠るその姿に、俺は怒りを感じながらも呆然と立ち尽くした。
こいつはいつもどんな気持ちで俺が側に居るかなんて、まったく気にしちゃいないんだろうと眉と頬の筋肉ががピクピクと痙攣する。
何せいくら空調が効いた過ごしやすい場所だからって下着姿で、しかも腹丸出しで寝てるこたないだろう。
まぁ俺らの関係が普通のお友達なら話は別なんだが…。

俺的には、どんなに色気のないスタイルだろうが、素肌を露出してるコイツを見ればそれなりに如何わしい気分にもなる訳で(俺って若いし。)
しかも俺的フェチズムを言わせてもらえば、適度に筋肉がつきながらも柔らかそうで滑らかな腹だとか、慎ましやかな臍だとか(これぞフェチ)、くびれている訳では無いが、なだらかな曲線を描くしなやかな腰だとか、細い癖に適度な肉付きの障り心地のイイ太股だとか(おんぶと称して何度も触った)、少し力を加えただけで折れそうな首だとか鎖骨だとか…下着姿になればソレら全てが俺の視界にダイレクトに入ってくる訳だ。
腹が立つ程に俺の欲求に火をつける。
ふと顔を覗けば、乾燥した部屋で喉が乾いたのか、眠りながらうっすらと唇を舐める。
ほどよく湿気を漏った唇は鮮やかな色に変化して
食べごろの果物のようだ。

…だから俺は普通のお友達じゃないんだってば。

目を逸らして舌打ちすると、買い出しの荷物を床に置いた。
踵を返して寝室に何かかけてやれる物を探しに行く。心の中で何度もゴンをなじりながら。

「毛布って程、寒くないしな」
ゴンが直した、ベッドに綺麗にセットしてあるスプレッドを剥がしながら呟く。
まだ夕方だしコレもまだ暑いくらいか、と少し考えて、軽くかけてやるために洗いたてのシーツを引っぱりだしてやった。
出したシーツを適当な大きさに拡げてやっている間に、俺は良いことを思い出した。

今日の商店街は賑やかだった。
色とりどりのお菓子や変わった洋服達、面白い悪戯グッズに沢山のカボチャにカボチャにカボチャ。
つい俺も調子に乗って、カボチャのプディングと色とりどりのキャンディやチョコレートを買ってきたんだった。
何だかさっきまでの鬱蒼とした気分が晴れ、楽しくなってきた。
俺はシーツを拡げて頭から被り、そうっと気配を消した。

静かにリビングのカーテンを閉めると部屋が夜のように暗くなった。
買ってきたカボチャのキャンドルを一つ灯すと、テーブルの周りだけ柔らかなオレンジ色に染まる。
この灯りを背にすれば、いくらゴンでも俺の顔は見えにくくなる。
笑いを堪えてゴンに近づく。シーツを更に深く被った。

まだ気付いていない。

ゴンの足の間をゆっくりと割って先へと進む。我ながら完璧な絶。

少し身じろぎした。

少しずつ眠りから醒めようとしているゴンの上腕を押さえる。
腿の間に俺の身体が入り上腕部をしっかり抑えられれば、寝起きの頭で咄嗟に暴れることはできない。

拘束に気付いたゴンが慌てて顔を上げようとした。
でも身体は抑えてある。
慌てたように大きな瞳を瞬かせると大きく声をあげた。
「なにっ??! だっ、誰?!」
寝起きの脳では完璧な絶をこなす俺の判別は難しいだろう。
暗い部屋な上に、背後の灯りが俺の輪郭を暈してくれるはず。
驚きと恐怖に粟立つ肌の感触が俺の加虐心をそそる。
耳をすませば心臓の音すら聞こえてきそうだ。

でも必要以上に脅えさせる必要はない、
今日は悪戯を楽しむ日なんだから
シーツから瞳だけを見せて、息がかかるくらいの距離で、俺はわざとらしい声色でゴンに訊ねた。

「Tricks or treats?」

ふっと、力の抜けた最高の笑顔が俺に答える。

「ごめん。お昼寝してたから、お菓子なんて持ってないよ」

分かってたセリフに俺は口元のシーツを外して微笑む。
腕を離しても俺だと分かったゴンに逃げる気配はない。
それでも多分今の俺の顔は、ゴンがいつも言う何か企んでる笑顔になってることだろう。

「んじゃ、悪戯決行」

ゴンごとシーツで包みこんで、気が抜けて笑ってる乾いた唇に
噛み付いた。


ハロウィンに2人が戯れてるのを書きたかったんです。
というか、イラストも描きたかったんですが無理でした。ガクッ
2人は未だ清い関係〜〜(笑)旦那は積極的ですが

アンケートで沢山ハンタに入れてもらい、アリガトです(^▽^)
今回は文字だけになっちゃいましたけど、まだまだ頑張りますねーvv

ばい。えくに 04/10/30

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