甘い世界

「すきです」

ドキッとした。
こんなの子供のとき以来だ。
金色の髪の清楚な女性を思い出す。
山吹の花の色をした軍人を思い出し
そばかすだらけの幼なじみ、そして
褐色の肌の少女を思い出した。

彼の心は純粋で、ほんの少し昔の自分を思いだたせる。

「ぼくもすきだよ」

彼女達に言われたかった言葉は言えないけれど
彼には本音でそう言える。

ただ すき

守ってあげたいと言える。
だけどあの男が邪魔をする。
人の気持ちも分からない駄々っ子が、子供すらを傷つける。
その度に僕は怒りに震え男の前で言ってやるのだ。

「ぼくもすきだよ」
07/03/22
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