男が手のひらに唇を添える。 指に、指に、手の甲に、手首からなだらかに上昇してくる唇を淡々と見る。 俺などに優しく、愛しそうに愛撫するその姿は滑稽だ。 男らしくも滑らかな指先が踝から足首へ、脛を通って膝頭を撫でる。 俺はゆっくり息を吐きながら天井を眺めた。 霞むように視界に入る金髪がチカチカして眩しくて、 体の上にのしかかる体温とも吐息とも言える生暖かさが気持ち悪い。 その温度は暫くすると、どんどん熱を帯びて来て、俺すらも巻き添えにしてドロドロに溶けさせる。 どろどろになって初めて男の顔を見た。 俺の中身も知らずに幸せそうに微笑むと、途端に真剣な眼差しになって行為を続行した。 哀れな男の髪を両手で優しく掴み、俺から初めての口づけを額に与える。 それはまるで神聖な一つの絵画のように 与えられた男は我武者らに俺に縋りつく。 どんなに求めても手に入らないものを只ひたすらに 只ひたすらに追い求める男をドロドロに溶け合いながら 偽善者の顔をして受け止める。 それが俺の生涯のしごと。 |
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