アスランが公務から帰ってくると、真剣な面持ちの息子が現れた。
「お父さん、お母さん。僕のお願いを聞いてくれませんか」
それは記憶に新しい、つい先日のコト。
『アスラン…最近あの子がおかしいんだ。』
妻であるキラが相談を持ちかけてきた。
今までしつこい位に懐いていた息子が、最近になって様子がおかしいらしい
『ようやく母親離れをしたんじゃないのか?』
安心させるように優しく頬を啄みながら、心配することじゃないと囁いてやる。
息子の変化の理由はわかっていた。
同じ遺伝子を持ち自分そっくりに生まれた子だ。判らない訳がない。
だからこそ幼い我が子に戒めておいたのだ。
「ママはパパのモノ」言葉と態度と教育と。
思春期に近づいた最近になり、ようやく理解できてきたのか様子が変わってきた。
「ママはパパのモノ」恋愛感情は持ってはいけない。極、当たり前な事。
まぁ俺の子なら、そう簡単には諦めないだろう。その程度にその時は考えていた。
息子は喉が乾くのか、口を硬く結び、しきりに唾液を飲みこむ動作をくり返す。
何をコレから云わんとするのか興味が湧く。
自分への宣戦布告でもするのだろうかと腹から笑いが込み上がる。
「お願いって?なぁに?」
俺の上着を脱がしながらキラが優しく問いかける。精一杯母親であろうとするその姿が愛らしい。
俺も父親然として聞いてやる「何をお願いしたい?」
息子は意を決したように俺を真直ぐに見つめると、こう言った。
「妹が、欲しいです。」
「えっっ!!」キラが息子の願いごとに思わず声を上げると、戸惑うように俺を見上げ瞬時に頬を染める。
一つ大きな溜息を落とし息子の頭を撫でてやる。
「それはママと…じっくり相談しなくちゃいけないな。」
首周りを寛げながらニッコリとキラに微笑む。可愛いキラは頬を染めて俯いたままだ。
「そうじゃない!!」
息子がいきなり俺の手を払い除け、頭を振って声を荒げた。
「ぼくはっっ…僕はっ…ママみたいな、ママと同じ妹が欲しいんだっ!」
まだ柔らかく小さな手を力一杯握りしめ息子は力説する。
「ママがパパのモノで、僕がパパに適わないんだったら…妹を僕のモノにするっ」
キラが固まった。なる程そう来たか。
「そう言う問題じゃないだろう?」
二つ目の大きな溜息を落とすと、もう一度息子の頭を撫でてやる。
そして静かに腰を降ろすと、戒めるように視線を合わせた。
普段なら怯えて目を逸らす息子が、今日は真正面から俺を睨み付けてきた。
「…コーディネーター同士で子供もコーディネートするんだったら問題は無いはずでしょ…。」
「僕…イヤ俺はママの遺伝子を持つママ似の妹を自分のモノにするためだったら、法律でも道徳でも何だって変えてやるっっっ」
「ママとパパが愛し合えたなら…俺と妹だって愛し合えるはずだっっ」
物凄い剣幕で捲くし立て自分の堅い意志を告げると、呆気にとられる俺とキラに最後の言葉を言い残して自分の部屋へと消えた。
「ちゃんとコーディネートしてね!」
冷えていく頭の中で『俺の子だ…』と改めて実感していた。
アップしてイインですか。こんなモノ(号泣)
大好きなサイトさんのお嫁さんキラに触発されて…
あぁぁぁああぁあぁもぅ
キラは女の子であれば良かったと思っています。ていうか女の子だよね(笑)
04/6/20
