アスラン誕生日おめでとう

目が醒めると太陽はもう既に真上に上がっている時間で、俺は呆然と窓からそよぐ風に揺られていた。

普段の俺ならばあいつよりも早く起きて朝食を作り珈琲をいれる。
冷めないうちに飛び切り寝起きの悪いあいつを叩き起こして、寝覚めの濃いめの珈琲を飲ませた後、放っておけば抜きがちな朝食を無理矢理にでも腹に収めさせる。
尚、寝ぼけ眼でぼんやりしているあいつにタオルを渡し、洗顔と歯磨きをうながす。
その間に簡単な部屋の片づけをし、クリーナーをかけて 仕事へ行くための身支度、それからあいつに出掛けの声をかける。

保護者のいなくなった俺達は生きていくために、それなりに働くこともしなければいけない。
俺は元軍人、そしてプラントの諸事情に詳しく、育ちのせいかマナーと言う物も気持ち理解があったので(あまり得意とは言いがたいが)、立場を生かしてカガリの警護兼側近として仕事をしていた。

『遅刻…か?というか今何時だ?』

辺りを見てもいつもある位置に時計はない。

『起こしてくれれば良いのに…!あいつは…!!』

隣にあるはずの人陰も見当たらないし、部屋も綺麗に片付けられている。
あいつが起きているのは明白だ。
無断欠勤など生まれてこの方経験もしたことのない俺は、頭を抱えて髪をぐしゃりと掻き混ぜた。
リビングの方から人の気配がするので、一言文句でも言ってやろうとベッドから降り、側にある椅子に掛けられていた白いシャツとパンツを身につける。

「おい!キラ!! 一体今何時なんだ!」

その時俺が怒っていたのは仕方のないことだったし、許してもらいたい。

目の前に用意された世界は、母親がこの世からいなくなってしまってから
ずっと遠くにあった懐かしい情景だった。

「アスラン、誕生日おめでとう。」

甘酸っぱいアップルケーキの香りに、林檎の白い花。
その奥には読んでいた雑誌を閉じて、ニッコリと微笑んでくれるキラが居た。
ゆっくり立ち上がって俺の方へ近づきながら今日こんなことになった事情を説明してくれる。

「今日はカガリに言って休みにしてもらったんだ。アスラン疲れてるみたいだったから、今日一日はゆっくり眠ってもらって、休んでもらおうと思って。」

「ホントは先に言っておこうと思ったんだけど、アスランてば自分の誕生日のこと忘れてるみたいだったから」


そっと俺の背中に手を回すと頬を肩にもたげる。
気分が軽く上昇して、足下がフワフワとした夢見がちな気持ちになりくすぐったい。
このままでいると有頂天にでもなってしまうようだったので、しがみつくようにキラを抱き締めた。
キラの肩が揺れて笑われているのが分かる。

「プレゼントはね、時期外れの林檎の花。アスランの誕生花だって、用意するの大変だったんだよ」

ラクスに聞いて作ってみた林檎のブリザードフラワー、枝は生木を用意して不器用なキラが手作りで組み立ててくれたらしい。俺が仕事に行っている間に作ってたのか。
なにより、嬉しかった。キラの思いが。
疲れてたのか、自分に初めて気がついた。
喉のつかえが全身の血管を伝って地面に返っていくような感覚を感じると、久し振りにキラの体温に触れたような気がした。

「花言葉はね。『導かれるままに』だって、僕らのこと言ってるみたいだよね。」

良いのか悪いのか今の俺には判断出来ないような花言葉だが

「いつも、ありがと」

キラの言葉に何故か胸が詰まって、泣きそうになった顔をキラの肩に埋めた。
お前に導かれるままに、生きていってもいいかもしれない。

同棲ラブラブで(笑)

誕生花って色々あるんですね、調べてみてビックリです。
その中でも地味だけど綺麗な林檎の花を選択しました。
花言葉も好きだったし、…微妙な花言葉ですが好きだなぁと
以外でもないですが、キラ受け、アスキラ探しで来て下さる方が多いのと、アスランへの誕生日プレゼントはやっぱキラかなぁと言うことで、こんな話にしてしまいました。

種デスでも休まる場所のない彼ですが、
とりあえず誕生日おめでとう(^_^)
パンツは下着じゃないですよ。(苦笑)

04/10/29
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