心持ち普段以上にイライラして見えるのも熱のせいか。 「どうやら大丈夫では無いらしいね、1人にはできんな。弟君が帰って来るまで私が側にいてあげるよ。」 水を用意してやると、ようやく小さく返事が返ってきた。 「…アルは暫く帰ってこねぇよ…。…俺、病気じゃねぇし。」 ケンカか。まったく災難だ。…だが調子の悪さは本当らしい…。 「君…。生理かね。」 「誰がせーりじゃ!!この能無し大佐がぁッッ!いくら小さくっても男だ、ゴラァ!!!」 頭に血が昇ったせいかクラクラとベッドに倒れこむ。 うむ。この姿は何げに色気を感じるな。 まぁ、どう色気を感じようと少年は少年。私の範囲外な訳だが。 「…なぁ大佐…俺、欲求不満なのかな。…大佐じゃあるまいし頭ン中そればっか…。」 何だ、その言い種は相談を持ちかけているのか、人をバカにしているのか。 「女性でも紹介して欲しいのかね。15の分際で弁えたまえ。」 仮にも国家錬金術師が女の紹介等… 『自分で捜せ、くそガキ』 少年は枕に顔を埋めて、ふるふると首を振る。 「やっぱ、いい。何でも無い。」 元気のない曇った声。何だ?何が言いたい。 「どうした。鋼の、言いたいことが有るのなら口にしなければ判らないぞ」 ベッドの端に座り、女を口説くように声をかけてやる。 暫くすると、うっすら瞳を潤ませ頬を染めた少年が少し顔を上げた。 『まずい』百戦錬磨の恋愛経験を持つ私の心が危険信号を発した。 「……俺…あ…後ろじゃないと………。やっぱ、いいっっっ」 シーツを深く被り私の視線から逃げようとする。 「出てってよ大佐!もう用なんかないだろ!!」 これはやはり。総合的に考えてもそうだろう。 まずい。彼が女性ならば、まるで問題のない行動に及べるのだが、 如何せん、男は守備範囲外だ。彼の言う通り早くこの場を去らなければ…!! …?!制服の端を引っ張る小さな手。 「…大佐は…何もしなくていいから…身体、だけ貸して?」 今にも泣き出しそうな、初めて見る少年の顔に…私はどうかしてしまったんだ…。 |
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