「アル、くすぐったいからって其処は」
クスクスと子供達が滑らかな裸体を露にして戯れている。
「うそだよ兄さん。この間ここ触ったら凄く好さそうにしてたもん。」
「ちがっ…!あれはっっ」
耳まで紅くして急激に熱を帯びた顔を両手で隠そうとしているのは
後に軍の錬金術師として名を馳せるエドワード・エルリックだ。
「ねぇ兄さん。気持ちいいね。」
そう言ってエドの柔らかい肌を撫で擦るのは、後にエドの片腕として
共に旅する弟、アルフォンス・エルリック。
「ん。…あ、アルお前もしかして背伸びてねぇ?」
上に覆い被さる弟の影に訪ねる。
この頃のエドは、周囲の少年達の身長もあって特に自分自身の身長を
卑下したことは無かったが、やはり弟に追いこされて行くのは複雑である。
「…そう、かな。じゃ後で比べてみよっか」
「後って、アーーール!!!俺もう、いい!」
「やだ。もう一回。」
バタバタ暴れだした兄の脚を脚で絡み付けて両手を押さえる。
「あれ?兄さん、ホントに僕よりちっちゃいや。」
いつもならもっと暴れだした兄を押さえるのは手間が掛かるはずだった。
「バカアル!!うっせーや!!離せって!もぉぉぉう!!」
兄の口が悪いのはいつものこと、とりあえず頬を両手で包んで口付ける。
「…。」 「あきらめた?」
まだ紅い兄の頬に何度も口付ける。黙って受け入れた行動を了承とみなし
少しずつ口付けをずらして行く。
「っん…」
耳の裏や鎖骨の辺りに舌を這わせると、鼻に掛かった声が漏れた。
2人の関係が始まったのは、ちょうど錬金術の文献や資料を幼い力で解読していた時。
様々な文献の中には、わからない言葉が山程あり辞書は欠かせない存在だった訳だが
調べる時には余計なことを知ってしまうことも多い訳で…。
2人は案の定 SEX=性交渉 を知ることとなる。
そして好奇心旺盛な兄弟は禁忌と知らず、後ろめたさだけは感じながら
性関係を築くのである。
「兄さんの中あったかい。柔らかくて気持ちいい…。」
「はっ…んん。ん、アル熱っい。コレすっげぇ、気持ち、い」
挿入の際、痛みが生じると言う文献に、エドはすんなりと挿入される側を選んだ。
兄として興味本位の行動で弟に辛い思いをさせる訳には行かない。
優しい心遣いだ。
しかし意外にも2人の位置は合っていたと言えよう。
その時まだエドよりも小さかったアルを受け入れるのは無理なことではなかったし、
アルの成長は予想以上に早く、エドを追い抜いた。
順序的にも、肉体的にも2人は格別の相性になったのだ。
後ろめたさを感じながらも、2人のその関係は…
あの凄惨な過去の日付けまで続いていたのだ。